偉そうですいません

私は文章を書くとき、特段の理由がなければ常体(だ・である)を使う。敬体(ですます)よりコンパクトだし、なにより形容詞で文章を終わらせられるのが便利で、語尾のバリエーションがつけやすい。たとえば、この文章を敬体で書くと、

「なにより形容詞で文章を終わらせられるのが便利で、語尾のバリエーションがつけやすい(の)です。」

となる。「つけやすい」で終われないので「です」や「のです」を付けるが、これが続くとなんとなく稚拙でカッタルイ文章になりがちだ(と私は思う)。

そんなある日の夕餉

でも、最近の若い人たちが発信している「読まれるブログの書き方」的な指南をいくつか読むと、「だ・である」よりも「です・ます」のほうがベターだと書いてある。なぜなら、「だ・である」は断定する言い方で偉そうに聞こえるから、だそうだ。

え? じゃ「吾輩は猫である」は断定で、「吾輩は猫です」は断定じゃないのか? いつから日本語はそういうことになったのだろう。

先般も、一問一答形式のインタビュー記事でイントロの地の文からすべて常体で書いたところ、インタビュー相手の方から、「自分の発言部分はですます体に変えてほしい」と依頼を受けた。理由は「上から目線に感じるから」。

もちろん敬体のほうが柔らかい印象になることはたしかで、文章の目的・内容によってそのほうがベターだと思えばそうするが、伝えている事実は変わらない。そのインタビューの場合、発言内容が大いなる自信と熱量を感じるものだったので、むしろ常体のほうがニュアンスまで伝わると思ったのだが、感じ方は人それぞれなのだなと、あらためて思った。

このブログも「偉そう」に聞こえてたら申し訳ないけど、それも含めてワタシなのでご容赦を。日本語って難しいネ。

人生なにが良いんだか

SNSの投稿を見ていると、私と同世代以下、つまり40代~50代の友人たちもぼちぼちワクチン接種が始まっているようだ。彼らの大半は首都圏在住なので、自治体接種の順番はまだ回ってきてないはず。おそらく職域(とその家族)の接種だろう。

こういうとき、現役世代のフリーランス・個人事業主というのは不利だなと思う。それでも今回は、フリーランス協会という団体が全国のフリーランスの希望をとりまとめて職域接種に申し込む、という画期的なことをしてくれたのだが、結局のところ東京・大阪以外の会場は申し込みが1000人に届かず(例えばこの辺だと仙台会場は申し込みが100名ちょっと)、今のところ実施されないようである。もっともいまは全国的にワクチン供給時期が見通せないみたいだけど。

私自身はワクチン打つのは最後の最後の方でいいと思っているので別にいいのだが、諸事情で一刻も早く打ちたいフリーランスの中には、この時ばかりはサラリーマン(それも早期に申し込めた大企業)のほうがよかったと、我が身を恨めしく思う人もいるんじゃなかろうか。なんだかんだ言って、家族まで面倒みてくれる大企業の福利厚生はすごいのだ。フリーランス同士でまとまろうにも、特に地方では絶対的に母数が少ないから有効サイズの集団がつくれない。なので最後は自治体頼みとなる。

私が2018年に訪れたとき撮影した檜枝岐村全景

そういう意味では、住民の数が極端に少ない超過疎の自治体に住むのも一案だ。例えば人口520人の福島県檜枝岐村(ひのえまたむら)では、あっという間にほぼ全員の接種が終わっている。

ま、人生、何を優先するかですね。

ちなみに福島県には59の市町村があり、そのうち村は15。檜枝岐村の次に人口が少ない(原発事故の旧避難区域の自治体は除く)のが約1200人の昭和村だ。福島市から行くと、途中まで高速を使っても片道2時間半はかかる。先日初めて訪ねてみたが、期待を裏切らないのどかな田舎であった。早くも昭和55年には生徒減少で閉校となった小学校の校舎が、いまでは観光資源として保存・一般公開され、その隣にはおしゃれなカフェもある。

校庭にポツンと一台は久々登場のしんじ君

そのカフェの2階の窓から眺める昭和の校舎と校庭の大イチョウが、なんとも絵になる。何時間でもいられそうなゆったりした空間を、私と友人の2人で貸切状態という贅沢。

それでも広々としたカウンター席はアクリル板で仕切られ、換気のため窓も全開で肌寒いくらいだった。これほどの奥地でも、いやこれほどの奥地だからこそ、気を付けないといけないのだろうけれど・・・なんだかな・・・

カフェで頂いたガレットおいしかった

メメント・モリ(2)

ツバメの子育ての時期である。ツバメは天敵から身を守るために人間の力を借りると、テレビで見た。だから人家の軒先に巣をつくるのだ。この辺ではコンビニの自動ドアの上にまで作ってしまうので、入口に大きな扇風機を置いて上向きに回している店もある。

今年は、住んでいるマンションのエントランスの軒下に初めてツバメが巣をつくった。ここの住人も管理会社も性根がやさしいので、棒で叩き落としたりしない。代わりに「頭上ご注意ください」という張り紙が出た。フンが落ちるタイルの上にはビニールを張って保護してある。

先週の土曜日の午後。外出から戻ると、エントランスのタイルのうえに小さな灰色の塊が3つ落ちていた。巣から落ちたヒナだった。まだ目は開かず羽も生えかけのヒナ。即死だったのだろう、すでにアリがたかり始めていた。共用部の清掃をしてくれる管理員はもう退勤したあとで、翌日は日曜日。しかたない、自分の部屋から箒と塵取りを持ってきて拾い集め、穴を掘る道具がなかったから植え込みの土の上にそのまま置いた。

まもなく親鳥が戻ってきたが、子どもの数が減ったことを訝しがる様子はない。兄弟たちも、まるで何事もなかったかのように口を大きく開けて餌をねだっていた。

それからエントランスを通るたびに植え込みの中をちらりと覗いたが、死んだヒナたちの身体は順調に虫たちと微生物たちに分解され、1週間たった今はほとんど跡形もない。あぁ、生物の身体はこういうふうに分解され自然に戻っていくのだなと思った。今の日本では土葬や鳥葬はダメだけれども、私もいずれ骨になった後はやはり土か海にそのまま撒いてもらい、生きものの循環の中に戻っていきたい。

いま、巣の中では残った3羽がもうだいぶ大きくなり、小さな巣にぎゅうぎゅうに並んで、親の帰りを待っている。6羽のままだったらとても入りきらなかっただろう。巣立ちはいつか。

(写真は今回フリー素材です)

メント・モリ(1)

もうちょっと親切にしてほしい

やっとスマホの料金プランを割安なものに変更した。3月くらいから各社の新料金が発表されていたけれど、最初のうちはきっと混むだろうと思って、ちょっと待っていたのだ。先日、そろそろいいかなと思って平日昼間に最寄りのショップを予約。混雑もなく対応もスムースだった・・・のはいいが、なんだかいろいろ考えさせられた。

新しい料金体系については多少調べてから行ったつもりだが、やっぱりこちらから質問しないとお得なプランは教えてくれないのである。最初、「新しいプランにすると、お客様の場合は逆に少しお高くなります」と言われ、でもそれはメインブランドの場合でしょ?データ通信は無制限でなくていいし、サブブランドなら別のプランがあるでしょ?などと訊いて初めてそちらを紹介してくれるのだ。両者のサービスの違いについても、速度は?とか保証は?とか一つ一つこちらが訊かないと具体的に教えてもらえない。

これ、ちょっと不親切なのではないか?お年寄りなら、最初に「高くなります」と言われて「あらそうですか」で終わってしまうかもしれない。

そして私は、たまたま同じサブブランドのポケットwifiを持っていて、同時にこれを解約したかったのだが、そのwifiはかなり前に大手家電量販店のY電機で契約したものだから、このショップ店頭では対応できないという。同じブランドなのになんでだよ?と思ったが、まあしょうがない。ここに電話しろという紙をもらったが、例によって音声自動案内を相手に長々と操作するのが嫌だったので、買い物ついでに最寄りのY電機の店舗で手続きしようと思い立つ。

翌日、念のため事前に解約手続きができることを電話で確認してから、いざ店舗カウンターに赴く。ところが店員いわく、「これはお客様ご自身でサービスセンターに電話していただく必要があります」。なんでだよ??まあしょうがない。店員もサポートしてくれる、というのでその場でスピーカーホンにしてセンターに電話。でも案の定、音声自動案内を何度聞いてやり直しても、せっかくプラン変更したばかりのスマホの解約メニューになってしまい、wifiの解約にたどり着かない。聞いていた店員も「オペレータにつながらないとダメそうですね」といい、店のスマホで同様に試してくれたが失敗。それでもああだこうだとやっているうちに、やっと電話の向こうに人間が出てきた。

「お客様のお電話番号を」「いや、私は電話ではなくwifiの解約をしたいんです」「ではwifiの番号を」はい、これ。「・・・その番号のご登録はありませんが」 

は?なんでだよ???そんな訳ないでしょ、現にいままで使ってたんだから!

だが、ここでキレて電話を切ったらこちらの負けである。再びああだこうだやって原因がわかり、やっと解約手続きを担当するという人につながったのだが、「本日解約されると手数料として10,450円かかりますが、よろしいですか?」

え、そうなの?そういえば契約書には更新手続き期間外の解約には手数料がかかると書いてあった気はする。「じゃ、いつ手続きすれば手数料かかりませんか?」「お客様の更新期間は8月~10月です」うーん、8月にまたこの音声自動案内の迷路をくぐり抜けなければならないのか・・・心が折れそうになる。

しかし、待てよ。5月から8月まで3か月分、もう使わないwifiの料金を払うよりここで手数料を払った方が安くね?

と、私はその場で気づくことができ、めでたく解約手続きを完了したのだが、これ、お年寄りには絶対無理じゃないですか??? って私は自分がお年寄りだと思っていない物言いをしているが、中年オバサンオジサンだってちょっと疲れて頭がもうろうとしていたら絶対無理だと思う。

こうやって、不必要なサービスを解約できないままズルズルとお金を払っている年配者って、きっとたくさんいるんじゃなかろうか。そういえば、父の生前、加入した覚えのない何とかプレミアム会員費というのが毎月請求されて、解約方法がわからないと相談されたことがあった。そのときは私がネットから無事解約でき、「父よ、今後ネットショッピングするときは気をつけてくれ」と諭して終わったのだが、私自身もそろそろ他人に諭している場合ではない。カモにされないように頭をシャープに保って自衛せねば、と思う今日この頃である。

けど、やっぱり、企業のほうがもう少し親切になってくれないものかねぇ・・・

(写真は5月中旬に訪れた喜多方の三ノ倉高原の菜の花畑。思ったより壮観でした。)

ちょっと嬉しいことがあった

信夫山を背負い、遠くに吾妻連峰を望むロケーション。緑の芝生が広がる前庭。平成築ではなかなか見られない、天井が高くゆったりとした贅沢な造りーー。福島県立図書館が大好きだという話はこのブログでも何回か書いている。が、実はその図書館にも唯一の難点があった。それはトイレ。4つある個室のうち3つが和式だったのだ(それでも洋式が1つあったのは他の昭和の県立施設よりはマシだったのかもしれないが)。

それがこの度ついに和洋比率が逆転し、洋式が3つになった!!新しい洋式にはちゃんとウォシュレットもついている。県のサイトを見ると昨年12月に「図書館トイレ洋式化工事」の業者落札があったみたいなので、きっと年度内にはリニューアルが終わっていたのだろう。先日久しぶりに利用してこの快挙を発見したときは、思わず「おぉ!」と声を上げた。もっとも駅のトイレと違って並ぶことなどないので、唯一の洋式が空くのを待たねばならないという事態はまずなかったのだが、それでもこの和洋比率逆転はなぜか嬉しい。やはり「チョイスがある」ということは気分的に違うのだ(たぶん)。逆に、なぜ1つだけ和式を残したのかは謎だが、おそらく公共施設ならではの真っ当な理由があるのであろう。

さて、その図書館へ行く道の途中、住宅街の中に小さな店がある。外から中が見えにくく入りやすい店構えとは言えないのだが、入口に掲げられた「コーヒー」「ジャズ」という控えめな文字がずっと気になっていた。一昨日、思い切って扉を開けて入ってみると、カウンターの中には初老のマスターが一人。想像どおりの空間だった。8人も入れば超満席の店内には、ジャズの名盤(もちろんレコード)とアンティークな小物が並ぶ。といってもアングラな雰囲気はない。

看板どおりにコーヒーを頼むとステンレスのポットで出てきた。これは長居して良いということだな(嬉)!こういう店は基本ドリンクだけかと思ったらパスタやドリアもできるらしい。なんかおいしそうな気がする。が、あいにく食事は済ませた後だったので、3種類あるケーキのうち「かぼちゃ」をオーダー。これはさすがに仕入れ品だろうと思い、よくあるオレンジ色のカボチャプリン系を予期していたら、違った。いかにも自家製のパウンド系で、しかもほんのり温かい。そして甘すぎない。ホイップクリームが添えられ、さらに「これをかけるとおいしいですよ」という黒蜜シロップも。かけたら本当においしかった。

さっき図書館で借りてきた本を読みつつ、ポットから2杯目を注ぐ。先客さんが帰ったあと、そろそろマスターと一言二言交わそうかと思ったところへ、続けて2組お客さんがやってきた。そうか、なかなか繁盛しているんだな。お話はまた次回の楽しみにとっておこう。

生きていれば悲しいこともあり嬉しいこともあり。どれだけささやかでも、ひとつひとつ味わわなければ。