味噌とともに熟成を目指す

いま我が家には芋焼酎のボトルがある。ふだん家で飲むのは白ワインか日本酒。もっぱら醸造酒派の私がなぜ焼酎なのか。

それは味噌をつくったから!

先週たまたまお誘いを受けて「味噌づくり講習会」というのに参加し、生まれて初めて味噌づくりを体験した。基本、大豆を蒸して、米麹と塩を合わせたものと一緒に練り混ぜるだけ。余計なものが入らない分、原材料の良し悪しが味を決めるんだろう、くらいは私にもわかる。

有機農家さんの組織「福島県有機農業ネットワーク」主催の講習会であるから、当然、大豆も米麹も無農薬で育てられたものだ。蒸しあがった大豆はそれだけでバクバク食べられるほど甘くておいしい。

その大豆の生産農家さんは、7町歩(ちょうぶ、と読むんだよ)の田畑で有機農業をやっていて、コメや野菜も作っているという。1町歩=約3000坪で7町歩といったら、かなりの広さである。周りの農家が高齢化し、うちのところもやってくれと言われて引き受けているうちに、そんな広さになったのだそうだ。

農業は当然、天候に左右される。そのうえに有機農業は雑草や病気との闘いだ。1反の田んぼからとれるのコメは6~8俵(1俵=60㎏)だと言っていた。以前に勤め先で兼業農家の職員に聞いたときは、1反10俵と言っていたから、やはり無農薬では収量が少なくなるんだろう。

いま味噌、醤油、納豆や豆腐の材料になる大豆は大部分が輸入だそうである。「安い外国産に押されて」というのは何でも同じ。ましてや無農薬で作れば、価格競争力という意味では厳しいと思う。だれしも身体にいいものを食べたいが、背に腹は代えられないとなればそれまでだ。誤解を恐れずに言えば、「オーガニック」とは一部の「意識高い系」の人々に許されたゼイタクであり、マクロでみればやはりニッチ市場なんではないか。

自分は別に意識が高いとも思わないが、平日昼間から無農薬大豆と無農薬米麹と沖縄から取り寄せた海塩で味噌づくりができるなんて、やっぱりこれはゼイタクである(写真のベジランチも、調味料まで無添加という意味で超ゼイタク)。

DSC_0895さて、冒頭に戻ろう。なぜ味噌づくりに焼酎か?

大豆と米麹と塩を混ぜて練ったものを最後は容器に詰めて熟成させるのだが、その容器を消毒するために焼酎が必要だったのだ。消毒用アルコールでもいいけど一番いいのは35度の焼酎、と聞いて、消毒用アルコールは飲めないが焼酎なら飲めるではないか!と買いに走った次第。(ただし私の好きな芋焼酎は25度のものしかしかなく、ちゃんと消毒できただろうか若干心配ではある)

この味噌、食べられるようになるのは10か月ほど先である。そのころ私はいったい何をしているだろう。味噌といっしょに少しは「熟成」してるだろうか。味噌の仕上がりとともにそれも楽しみだ。願わくば、顔より脳みその皺が増えんことを。

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