光る蛇

眼下を光る蛇が通る。後から後から。
右から左へ。左から右へ。
ときに並んで。ときにすれ違い。
黙々と軌道の上を這いゆく、蛇たち。
光るお腹に人間と空気を乗せて。

川崎の実家に帰る前日に東京駅近くのホテルに泊まった。部屋はシティビューと書いてあったが、むしろトレインビューというのが相応しかろう。山手線、京浜東北線、東海道線、横須賀線、そしていちばん手前が東海道新幹線。いつもお世話になる東北新幹線が20〜30分に1本(注:福島駅に停まる便)なのに対し、こちらはひっきりなし。本当に山手線と大して変わらない。

年の瀬の夕飯時、通勤電車にはそれなりに人は乗っていたが、普段の年ならもっとぎゅう詰めのはずだ。長距離列車に至っては回送かと見間違えるほど空いていた。それから向かいのビルの2階、あそこは確かライブバーじゃなかったか?テーブルにキャンドルのような明かりが灯っているのは見えるが、おそらくほとんど人はいないのだろう。

不要不急の帰省は控えるようにと言われても、父が亡くなってはじめての正月だ。半分ボケた母親を何日も一人にしておくわけにはいかない。普段世話をしてくれている弟に代わり、正月くらいは姉が帰らねばバチが当たる。翌日から遺品整理と大掃除の数日間が始まるのを前に、この一晩だけは自分にご褒美である。

もともと相対的に感染リスクの低いおひとりさまだが、今回は食事も全部ルームサービス。ジムもスパも人数制限だそうで他の客とはほぼ接しない。この業界も大変だと思うが、それでも東京にはまだまだホテルができる。八重洲口の目の前には、ブルガリホテルが入るという巨大ビルが建築中だ。

今年の年末年始は、一人で閉じこもり気味の母を、気分転換も兼ねて逆に福島の温泉へ「疎開」させようかとも考えたのだが、福島市もなかなか感染が拡大している。そもそも頭も脚も弱った母はとても一人で新幹線には乗れない。そう考えると、無理に福島の温泉へ連れて行かずとも、次回帰省したとき一緒に都心のホテルでプチ贅沢もいいのかも、とも思う。リモートだの二地域居住だの地方移住だのが進むと、意外に都心のホテルはこの手のニーズがあるのではないかしらん。

しかし、な。スパの立派なバスタオルで身体を拭き、使用済みタオル入れに放り込むときの罪悪感。お部屋にも一度しか使っていない立派なバスタオルがあったのに。ふわふわタオル地のルームスリッパは、念のため聞いたら案の定使い捨てだそうだ。なんと。これは持って帰ってリユースせねば。バーに行けば、外したマスクを入れるためのこれまた立派なビニールパウチをもらう。置いて帰ればもちろんゴミになるのだろう。・・・などとけち臭いことを言っているようでは、このクラスのホテルに泊まる「資格」はないのかもね。w

実家に帰れば屋根裏をネズミが走り回ってやかましい。干支が終わる前の最後のお祭りか。丑年になったら駆除してやる。あと24時間。締めくくる、などという気には到底なれないけれど。

今年も本ブログにお付き合いいただきありがとうございました。来年が良い年になりますように。

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