雨音と夕焼け

東京から福島に引っ越してきて、やらなくなったこと。

1.まともな傘を差さなくなった。

なぜなら、運動としての散歩以外に屋外を長時間(=5分以上)歩くということがほとんどないから。二本松の賃貸アパートにいたときは、ドアを出てからしんじ君(※)まで5歩だった。傘を開く間すらない。福島のマンションに越してからは敷地外に借りている駐車場まで150歩に増えたから、本降りのときはさすがに差すが、それでも大した傘は必要ない。半分壊れた古いものや、どこで誰のにすり替わったかわからないビニール傘で間に合わせていた。

(※最近しんじ君の話を全然書いていないけども、私の愛車の名称。現在のしんじ君1号は福島に来てから2代目。2号(自転車)は、残念ながら三月ほど前に盗難に遭い行方不明となっている。)

それが少し前、ちょっと風の強い吹き降りの日があって、駅までの5分でも濡れそうだったので、戸棚に眠っていた布張り16本骨の「ちゃんとした傘」を久しぶりに差した。そしたら、雨音が違った。友人から、「生地にあたる雨音がいい」という理由で旦那さんが大事にしている傘がある、と聞いたせいかもしれないが、本当に、これが「雨音」ってやつだよな、と思わせる音。ショパンに雨だれの前奏曲というのがあったっけ。東京では雨の日の通勤に傘は必需品であったが、雨音の違いなんて意識したことなかった。久々のことをすると新発見がある。さて、次にこの傘を差すのはいつかしらん。

2.もうひとつ、特に福島市に越してからめっきり減ったのは、本を買うという行為だ。

ロケーションも建物もすばらしい県立図書館が身近にあるのは本当にありがたい。今すぐ読みたい「話題の新刊」なら本屋に行くが、仕事で必要な資料でなければ一刻を争うわけもなし。1年も待てば図書館の新着図書コーナーに並ぶものも多いし、却って新聞の書評などで予断を持たず図書館側のセレクト企画に乗るのも楽しい。たいていの雑誌や新聞も読み放題。税金をこういうふうに還元してくれるのはうれしいことだ。最近では旅行に出かける際のガイドブックまで図書館頼りである。

そんなで定期的にお世話になる県立図書館、平日は19時まで開館しているらしいが、いつも訪れるのは昼間だった。信夫山を背にした広大な敷地、緑の芝生の前庭を散歩するのが気持ちがいいのだ。それが先日、隣接する県立美術館で夜のアートパフォーマンスがあるというので、19時過ぎに初めて敷地に入った。そしたら、黒い影になりつつある信夫山の上に夕焼けの名残りがそれは美しかった。

二本松の工業団地の中にあった浪江町役場の仮設庁舎に勤めていたときも、帰りの駐車場で見上げるこの時期の夕空は美しかった。東京でこんな夕焼けを見たことがあっただろうかとよく自問した。当然、気象条件さえ合えばどこでも同じように夕焼けはおこる。でも空の広さが違うから気づかなかっただけだろう。

雨音も夕焼けも、たわいもない話だけど、私にとってはけっこう大事なことだったりするんだな。

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