月別アーカイブ: 2019年7月

ひろしまとふくしま

先々週に行った広島旅行の話を書く。

広島は20年くらい前にも出張でいちど訪れたことがある。そのときは原爆ドームをチラ見しただけで観光する余裕はなかったが、今回は2時間かけて原爆資料館を見学し、翌日は厳島神社のある宮島でほぼ一日過ごした。どちらも世界遺産だ。

原爆資料館は圧巻の内容だったが、東日本大震災被災地の人なら、原爆投下後の焼け野原と津波の翌朝の光景をダブらせる人は多いのではなかろうか。そして、福島に住む者としては「被ばく」という言葉にも敏感にならざるを得ない。原子爆弾による被爆と、原発事故の放射性物質による被曝はまったく違う次元のものだが、世の中一般、なんとなく一緒くたのイメージになっているような気がする。どちらも繰り返してはいけないという点においては同じなのだが。福島県双葉郡にもできる東日本大震災・原子力災害アーカイブ施設はどんな内容になるんだろう。

ところで、東京や京都だけでなく日本全国で外国人観光客が激増しているのは知っていたが、広島も例外ではなかった。へぇと思ったのは、欧米系が多いことだ。私が原爆資料館を訪れた時は、見学者の9割方が外国人、そのうち7割くらいは東アジア以外の人々だったと思う。宮島には日本人のグループも多かったが、それと同じくらいの外国人もいて賑わっていた。

広島市内に2泊の後、そこからローカル線で1時間半余りの尾道にも1泊。お目当ての絶景ルート「しまなみ海道」の一部を走った。走ったといっても、自動車ではなく自転車である。ここでも、ドライブではなくサイクリングしているのはやはり外国人が多かった。「サイクリストの聖地」を謳うだけあって、ルートも各種サービスもすばらしく整備されている。

わが福島市もオリンピックを控えてインバウンド増加を意識しているようだけれども、残念ながら実感として市内の外国人客数は文字通り桁違いに少ない。ま、市内に2つも世界遺産を持つ広島市と比べてがっかりしてもナンセンスだから、福島市は独自のニッチを行くしかなかろう。

福島市の売りといえば花と温泉と果物と磐梯吾妻スカイライン(吾妻山と浄土平)だが、はっきり言って「美しい自然」はどこでもある。花も果物もシーズンが限られるし、食べものには好き嫌いもある。スカイラインだって冬季は閉鎖だ。日本人は人間なら誰でも温泉好きと思っているが、湯船に入る習慣のない国も多い。

ということで、マスを相手ではなくリピータ―獲得狙いのほうが正しい気がするのだが、いかがかしらん。噛むほどに味わい深い地味なふくしま。外国人の前に日本人も来てもらわないとね。

ももりん、がんばろね
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雨音と夕焼け

東京から福島に引っ越してきて、やらなくなったこと。

1.まともな傘を差さなくなった。

なぜなら、運動としての散歩以外に屋外を長時間(=5分以上)歩くということがほとんどないから。二本松の賃貸アパートにいたときは、ドアを出てからしんじ君(※)まで5歩だった。傘を開く間すらない。福島のマンションに越してからは敷地外に借りている駐車場まで150歩に増えたから、本降りのときはさすがに差すが、それでも大した傘は必要ない。半分壊れた古いものや、どこで誰のにすり替わったかわからないビニール傘で間に合わせていた。

(※最近しんじ君の話を全然書いていないけども、私の愛車の名称。現在のしんじ君1号は福島に来てから2代目。2号(自転車)は、残念ながら三月ほど前に盗難に遭い行方不明となっている。)

それが少し前、ちょっと風の強い吹き降りの日があって、駅までの5分でも濡れそうだったので、戸棚に眠っていた布張り16本骨の「ちゃんとした傘」を久しぶりに差した。そしたら、雨音が違った。友人から、「生地にあたる雨音がいい」という理由で旦那さんが大事にしている傘がある、と聞いたせいかもしれないが、本当に、これが「雨音」ってやつだよな、と思わせる音。ショパンに雨だれの前奏曲というのがあったっけ。東京では雨の日の通勤に傘は必需品であったが、雨音の違いなんて意識したことなかった。久々のことをすると新発見がある。さて、次にこの傘を差すのはいつかしらん。

2.もうひとつ、特に福島市に越してからめっきり減ったのは、本を買うという行為だ。

ロケーションも建物もすばらしい県立図書館が身近にあるのは本当にありがたい。今すぐ読みたい「話題の新刊」なら本屋に行くが、仕事で必要な資料でなければ一刻を争うわけもなし。1年も待てば図書館の新着図書コーナーに並ぶものも多いし、却って新聞の書評などで予断を持たず図書館側のセレクト企画に乗るのも楽しい。たいていの雑誌や新聞も読み放題。税金をこういうふうに還元してくれるのはうれしいことだ。最近では旅行に出かける際のガイドブックまで図書館頼りである。

そんなで定期的にお世話になる県立図書館、平日は19時まで開館しているらしいが、いつも訪れるのは昼間だった。信夫山を背にした広大な敷地、緑の芝生の前庭を散歩するのが気持ちがいいのだ。それが先日、隣接する県立美術館で夜のアートパフォーマンスがあるというので、19時過ぎに初めて敷地に入った。そしたら、黒い影になりつつある信夫山の上に夕焼けの名残りがそれは美しかった。

二本松の工業団地の中にあった浪江町役場の仮設庁舎に勤めていたときも、帰りの駐車場で見上げるこの時期の夕空は美しかった。東京でこんな夕焼けを見たことがあっただろうかとよく自問した。当然、気象条件さえ合えばどこでも同じように夕焼けはおこる。でも空の広さが違うから気づかなかっただけだろう。

雨音も夕焼けも、たわいもない話だけど、私にとってはけっこう大事なことだったりするんだな。

おらがまちじまんの回

先般の人口動態調査では、依然として東京一極集中が続いていることがわかったらしい。その集中是正を掲げたのが、かの「地方創生」という政策だったはずだが、まるで面目が立っていないわけだ。最近は「地方創生」の言葉すら、ニュースでもあまり聞かなくなった。参院選の政見放送でもほとんど言及されてないと思う。

事実、私の住む福島市の人口も順調に右肩下がりである。福島県全体に原発事故の影響はまだあるから、多少はハンデをつけて論じなければならないだろうが、市内に不動産を持つ身としてはどうしても、「おい、県庁所在地がんばれよ!」と思ってしまう(笑)。増やすのは無理でも、せめて現状維持できるといいのだが・・・

もっとも、個人的には福島市はけっこう「穴場」なんじゃないかと思っている。東京一極集中といっても、明日から首都圏の外に誰もいなくなるわけではない。当面はブロックごとに1カ所、東北圏なら唯一の政令指定都市・仙台市に集中していくはずで、現に仙台の人口は一人勝ち状態で増え続けている。若者の比率も比較的高い。もちろん東日本大震災で被災地からの転入者が増えたなどの要因はあっただろうが、調べてみたら人口の漸増傾向は震災前からだ(もっとも来年あたりから減少に転じるらしいが)。 したがって仙台市街の不動産価格・居住コストは高止まりしている。

それに比べると、そこから新幹線で20分の福島市はかなり割安感があるのである。加えて福島市には、仙台とちがって、駅から車30分圏内にすばらしい温泉が3つもあるのだ!全体的にちょうどいい「トカイナカ」具合で住み心地がよい。自分で住む家を買うのも「投資」には違いないから、私の福島駅近マンション購入は悪い投資ではなかったと思っているのだけど・・・。ってこれは典型的な確証バイアスか?(笑)

もう一つ、福島のアドバンテージはおいしい日本酒があること。もちろんおいしい日本酒は全国で作られているが、福島県には何といっても「新酒鑑評会で金賞受賞数7年連続日本一!」というスバラシイ謳い文句があるのだ。

私が常連としてよく利用している福島駅前の観光物産館のラウンジでは、現在その金賞受賞全22銘柄の飲み比べセットが提供されている(売り切れのもあるけど)。受賞酒はほとんどが大吟醸。大吟醸なんて普段はめったに飲む機会は無いから、こんな贅沢は今しかできない。

(ちなみに、上の写真でわかるように福島県内には「豊國酒造」が2軒ある。一つは古殿町で、こちらは私も取材させてもらったことがある(こちら)。もう一つ、会津坂下町に全く同名の蔵元があることは、この飲み比べで初めて知った。どちらも旨いのは言うまでもなし。)

ま、最終的にはどこに住んでも「住めば都」なのだろうが、今回は我が町自慢をさせてもらいました。チャンチャン (^^)/