東京・渋谷・わたし

月に一度の2泊3日の帰省。前職の同僚や学生時代の友人らと会い、「お母さん/お父さんはお元気?」が挨拶なのはいつもの通り。「いろいろあるけどおかげさまで何とか」と笑っていられるのも有難いことだ。

今回はスマホの充電器を忘れてきてしまい、電池節約のため都内の電車移動中はスマホをいじるのを止めて車内観察に徹してみた。山手線も京浜東北も前からこんなに動画CM流してたかしら?見回すと乗客の9割方はスマホ画面に釘付けである。当然、車内広告市場は縮小傾向かと思ったが、動く広告ならまだ効果があるということか。

品川から渋谷までの15分、そのCMをまじまじ眺めてみると、時節がら脱毛エステ、防カビ機能付きエアコン、夏バテ対策として?栄養スナック。なるほど。それから不動産担保ローンのCMを何回も見た。ふーん、都心の物件はやはり値上がりしてるのだな。この人の多さを見れば、不動産投資を考えるなら当面はやっぱり東京なのかと思わされる。私のような素人大家にとって、出口を考えたときには猶更だ。

久しぶりの渋谷に着いて、久しぶりの道玄坂に向かう。このスクランブル交差点を渡るのは人生で何百回目だろう。以前は人の波をスイスイと泳げたはずなのに、今では信号が変わる前に行きたい方向の向こう岸に辿り着くのが難しい。

二十代の一時期、道玄坂は百軒店の雑居ビル内のジャズバーに通っていたことがある。10人も入れば一杯の店内。くわえ煙草でカウンターに陣取り、よく味も分からないバーボンロックのグラスをカラカラいわせ、これまたよく分かっていない一つ覚えのジャズの名曲をリクエストする。30年前の自分はそれが格好いいと思っていたのだろう。おそらく私はその店で数々の失態も演じたはずだが、幸か不幸かよく覚えていない(笑)。バーのマスターというのはよほど人間が出来ていないと務まらないものだと、今さらながら思う。

もう少し「大人」になってからも時たま思い出したように立ち寄って、あぁまだあった!マスター変わらないね、なんてやってたものだが、最後に訪れたのはたしかもう7~8年前だ。久しぶりに寄ってみようか。マスターは私が5年半前から福島で暮らしてることを知らない。言ったらびっくりするだろうなあ。

いやいや、さすがにもう店はないだろう。当時のマスターの歳からいっても、まだやってたらその方が驚きだ。だけどもしかして・・・

・・・と何やら甘酸っぱいような気持ちで雑居ビルの奥を覗いたら、やはりもう看板は変わっていた。

そうだよね。

甘酸っぱさを抱えたまま坂を登り、高校時代の同級生がやっているバンドのライブ会場に向かう。地下に降りる狭い階段。薄暗い店内。タバコの匂い。初めての場所だがどことなく、なつかしい。

年齢層高めなお客さんで小さなライブハウスは間もなく満席になった。どこへ行っても空間に余裕のある福島は大好きだが、最近はまた、東京らしいこの窮屈さ加減も悪くないなと感じたりする。「ふるさと」という言葉は東京にはなぜか似合わないけど、「ホーム」という表現ならしっくりくる。おかしなものだ。

私にとって「帰る場所」はどこなんだろう。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。